【フォトカプラ入力回路】並列抵抗の選定方法

回路設計

本記事では、フォトカプラ使用時にダイオードと並列に抵抗を接続する意味と抵抗値の設計方法について解説します。ちなみに、この並列抵抗はブリーダ抵抗やシャント抵抗と言ったりもします。

並列抵抗はどういう時に必要か?

フォトカプラの動作上は並列抵抗が無くても動作しそうですが、なぜダイオードに並列に抵抗を接続することがあるのでしょうか?

この並列抵抗接続の目的は、主に以下の2点です。
接続する機器の漏れ電流等の微小電流による誤動作を防ぐ
ノイズ重畳時の微小電流による誤動作を防ぐ

例えば、接続する近接センサの漏れ電流が1.0mAだとします。フォトカプラの変換効率を100%とすると、コレクタ電流も1mA流れます。この時、出力電圧が1.7Vまで低下してしまうため、誤動作してしまいます。

次に、並列抵抗を入れた場合について説明します。漏れ電流1.0mAが並列抵抗330Ωを流れると並列抵抗の両端には0.33Vの電圧が発生します。この時、フォトカプラのダイオードの両端の電圧は0.33Vであり、電圧が低いためフォトカプラはONしません。そのため、コレクタ電流が流れないため、出力電圧が低下することもありません。

このように、並列抵抗を接続することにより、微小電流が流れた際のフォトカプラのダイオード両端の電圧を制限してあげることで、誤動作を防ぐことができます。

信号線にノイズが重畳した場合は、微小な電流が流れます。先ほどと同様の理由で並列抵抗により、誤動作を防ぐことができます。

並列抵抗値の選定方法

①接続する機器で想定する漏れ電流を決める

接続する機器にどのようなものを想定するかを決めます。

例えば、キーエンス製の近接センサEV-108Mの使用を想定します。この近接センサの仕様では、漏れ電流は1.0mA以下となっています。

今回は1.0mA以下の漏れ電流でも誤動作しないように抵抗値の選定を進めていきます。

②フォトカプラのデータシートからONしない電圧を確認する

今回はフォトカプラに東芝製のTLP185(SEを使用することとします。東芝製のフォトカプラの場合は、非発光順電圧は0.5V程度です。つまり、0.5V以下であればフォトカプラがONすることはないということです。他のメーカーのフォトカプラを使う場合でもそれほど大差はないと思うので、ざっくり0.5V以下になるように計算しておけば問題ないと思います。

③並列抵抗値を決める

フォトカプラの入力電圧が0.5Vでも誤動作しないように、並列抵抗を決めていきます。漏れ電流は1mAなので、並列抵抗Rsは次のように計算できます。

Rs = 0.5V / 1mA = 500 [Ω]

つまり、500Ω以下であれば0.5V以下になります。

E12系列から近い抵抗値を選ぶと470[Ω]となります。この時、フォトカプラの入力電圧Vinは以下のようになります。

Vin = 470Ω × 1mA = 0.47 [V]

Rs=470[V]で0.5V以下になるため、誤動作することがありません。

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