【全波整流回路】平滑化コンデンサの静電容量値と出力電圧リプル

パワーエレクトロニクス

この記事では、AC(交流電圧)からDC(直流電圧)へ変換する整流方式の一つの『全波整流回路』において電圧の平滑化を行う平滑化コンデンサの静電容量値と出力電圧の脈動(リプル)の関係について解説していきます。

全波整流回路の動作については、前の記事で解説していますのでそちらを参考にしてください。

全波整流回路の動作
この記事では、AC(交流電圧)からDC(直流電圧)へ変換する整流方式の一つの『全波整流回路』について解説します。全波整流回路の目的全波整流回路はAC(交流)をDC(直流)へ変換する目的で使われます。回路構成...

平滑化コンデンサの静電容量と電圧波形

平滑化コンデンサの静電容量値と出力電圧波形の関係を見ていきたいと思います。

平滑化コンデンサを変化させたときの、出力電圧の変化を見るために、以下のような条件でシミュレーションを行います。

条件

<パラメータ>
・平滑化コンデンサ:1uF/10uF/100uF/1000uF

<固定値>
・入力電圧:AC100V(約141Vの振幅)、50Hz
・負荷抵抗:100Ω

LTspiceの回路は以下のような内容で行いました。

図1:LTspiceシミュレーションモデル(コンデンサの静電容量変化)

図2は出力電圧波形になります。平滑化コンデンサの静電容量を大きくしていくと、電圧の脈動(リプル)が小さくなる様子がわかると思います。

図2:出力電圧波形(静電容量値変化、負荷抵抗値一定)

図2の波形で、0~5msは初期充電の部分になるので、AC電圧と一緒に電圧が上がっていきます。その後、5~10msはAC電圧が低下していきますが、コンデンサの作用により緩やかに電圧が下がっていきます。10ms~15msで再びAC電圧が上昇してきて、出力電圧を上回ったところから再び充電が始まり、AC電圧と一緒に電圧が上昇していきます。以降、同様のことが繰り返されます。

負荷電流の大きさと電圧波形

負荷電流の大きさと出力電圧波形の関係を見ていきたいと思います。

負荷電流を変える代わりに、負荷抵抗を変化させ、出力電圧の変化を見ていきます。以下のような条件でシミュレーションを行います。

条件

<パラメータ>
・負荷抵抗:10Ω/100Ω/1kΩ

<固定値>
・入力電圧:AC100V(約141Vの振幅)、50Hz
・平滑化コンデンサ:470uF

LTspiceの回路は以下のような内容で行いました。

図3:LTspiceシミュレーションモデル(負荷抵抗値変化)

図4は出力電圧波形になります。負荷抵抗値を大きくしていく(=負荷電流を小さくしていく)と、電圧の脈動(リプル)が小さくなる様子がわかると思います。

図4:出力電圧波形(負荷抵抗値変化、静電容量値一定)

想定する負荷電流に応じて、平滑化コンデンサの静電容量値は変える必要があることがわかると思います。

設計の際の静電容量値の決め方

ここまで見てきた内容から、設計の際の静電容量値の決め方について解説します。

設計条件として、以下の点を明確にします。

静電容量値の決め方

①接続する負荷(回路、機器)の出力電流はどの程度か明確にする
②接続する負荷(回路、機器)の許容電圧範囲はどの程度か明確にする

③許容電圧範囲内となる静電容量値のコンデンサを選ぶ(必要に応じてマージンを取る)

設計するにあたり接続する負荷(回路、機器)の出力電流がどの程度かを明確にします。出力から引っ張られる電流値により出力電圧の脈動(リプル)が変わってくるため、必要な静電容量も変わってきます。

次に、接続する負荷(回路、機器)で許容される電圧範囲はどの程度かを明確にします。例えば、出力電圧が10%下がっても後段の回路の動作や特性上問題ないのか、または、出力電圧が1%までしか許容されないのかなどによって、選択する静電容量値が変わってきます。

また、必要に応じて静電容量値はマージンを取ります。部品のばらつきを考えると、少しマージンを取っておく必要があります。例えばアルミ電解コンデンサは定数に対して、許容差は20%あるため、マージンを取って少し余裕のある値にしておかないと、想定通りに動作しない場合が出てきます。

平滑化コンデンサには通常、アルミ電解コンデンサが用いられます。そのアルミ電解コンデンサを選ぶ際には、静電容量値以外にも考慮が必要なパラメータとして、耐圧、リプル電流定格、寿命、部品サイズなどです。この辺についても今後の記事で解説をしたいと思います。

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